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  • 2014.03.03 Monday
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Round 7:伊藤 大明(神奈川) vs 山川 洋明(東京)

By Daisuke Kawasaki


先月末におこなわれたプロツアー・京都。


その決勝戦が、アメリカのLuis Scott-VargasとフランスのGabriel Nassifという、現在の頂上決定戦とも言えるマッチアップであり、そして、そこで勝利したNassifが現役最強としての地位を確立したことは記憶に新しい。


しかし、あまりにもプレイヤーがスーパープレイヤーすぎたため、そこで使用されたアーキタイプの話はおざなりになりがちである。


LSVが持ち込んだのは、当時、少なくとも日本では「死んだアーキタイプ」として見られていた白黒トークンである。


単体除去の増加による《運命の大立者/Figure of Destiny》の優位性の消滅=赤白GAPPOの優位性が揺らいでいたことと、コンフラックスでの《苦花/Bitterblossom》対策に対するひとつの答えである、《栄光の頌歌/Glorious Anthem》というふたつのキーによって、メタゲームのソリューションとなったのが、白黒トークンだったのだ。


そして、その後、白黒トークンは、爆発的…とまでいかなくとも、少なくともメタ上でムシのできない存在となった。

R7itou

そう、本日唯一の全勝として伊藤 大明(神奈川)が選択するデックになるぐらいには。

一方の、Nassifの使用したデックは、5色のクイックン・トーストと呼ばれるアーキタイプである。すでに、形骸化した響きのあるクイックン・トーストという言葉ではあるが、Nassifは形骸化したロックを破壊するパンクのように、Nassifはクイックン・トーストというデックに新たな息吹を、ナシフ・トーストとしかいいようのない息吹を与えた。


ナシフ・トーストに対して、詳しい解説は必要無いだろう。デックの構成が固まり始めた、と思われた時こそ、新たな構築に挑戦するべきだ、という姿勢をナシフのデック選択は見せてくれた。デックは、完成したと思った時が、終わりではなく始まりなのである。


例に漏れず、ナシフ・トーストも十分に流行したデックとなった。


だが、そうして流行し、対抗手段が固まったときこそ、また新しい5色デックが構築されるべきなのだ。

R7yamakawa

今、山川 洋明(東京)がまったく新しい5色デック、「びゅーてぃーぐりくしす」を持ち込んできたように。


概念としては、プロツアー京都の再現となった、このマッチアップ。


もうひとつ再現となっている事項がある。


それは、このマッチの勝者が、この大会の優勝者であるということである。


Game 1


先手の山川が2ターン続けて鮮烈土地を並べていくなか、伊藤は2ターン目に《苦花/Bitterblossom》というスタート。



だが、3ターン目に《反射池/Reflecting Pool》をセットした山川のアクションが《静月の騎兵/Stillmoon Cavalier》。


これに、「ボフ」と思わず声を漏らした伊藤ではあったが、続いて《栄光の頌歌/Glorious Anthem》とここでLSVを思わせる強力エンチャント2枚張りを達成する。


さて、今日の山川はアグレッシブ。《静月の騎兵》をアタックに向けると、土地を4枚たてたままで、ターンを終了。伊藤の《変わり谷/Mutavault》も含めたアタックもスルーし、《メドウグレインの騎士》を《謎めいた命令/Cryptic Command》でカウンターする。山川にとってみれば、土地さえ4枚あれば青マナ3つなど造作ない。


続いてブロッカー兼アドバンテージソースとして《熟考漂い/Mulldrifter》をキャストすると、さらに《静月の騎兵》でアタックする。伊藤はこのフルタップの隙に今度こそ《メドウグレインの騎士》をキャスト。


ここに来て山川が《静月の騎兵》を防御に回す。伊藤のトークンのアタックはいったん通し、それをみた伊藤の《幽体の行列》後に、《ジャンドの魔除け/Jund Charm》をキャスト。ここでプロテクション黒の《静月の騎兵》と《栄光の頌歌》で強化された《メドウグレインの騎士》が場に残る。

counter

この《メドウグレインの騎士》も、伊藤が手札に抱えていた秘密兵器である《くぐつ師の徒党/Puppeteer Clique》も根こそぎ刈り取る《残酷な根本原理/Cruel Ultimatum》。


ここでライフリソースにも余裕を確保した山川は《静月の騎兵》を強化させることで、一気に伊藤のライフを削りきってしまったのだった。


山川 1-0 伊藤


Game 2


《秘儀の聖域/Arcane Sanctum》スタートの先手伊藤は、2ターン目に《思考囲い/Thoughtseize》。ここでの山川の手札が《ジャンドの魔除け》《荒廃稲妻/Blightning》《噛み付く突風、ウィドウェン/Wydwen, the Biting Gale》《復讐のアジャニ/Ajani Vengeant》に土地が3枚というカオスなもの。


ここから《荒廃稲妻》を抜いた伊藤は、さらに2枚目の《思考囲い》をキャスト。今度は《噛み付く突風、ウィドウェン》をディスカードさせる。


続くターンに《台所の嫌がらせ屋/Kitchen Finks》をキャストした伊藤だったが、ここで山川のアクションは《荒廃稲妻》。伊藤の秘密兵器である《思考の粉砕/Mind Shatter》を含む手札を根こそぎたたき落とす。


山川は《復讐のアジャニ》をキャストし《台所の嫌がらせ屋》に対して時間を稼ぐ。1度は《変わり谷/Mutavault》で忠誠カウンターを減らす為のアタックをおこなった伊藤だが、すでに《ジャンドの魔除け》を見ている以上は、山川のマナが無い隙でなければどうにもならない。


延々アンタップ制限をかけられ続ける《台所の嫌がらせ屋》、そしてカウンターされている《苦花》。


そして、山川は《ゴブリンの異国者》に《ジャンドの魔除け》でカウンターを与え、守りを完璧なものにし《復讐のアジャニ》にカウンターを載せ始める。


この流れを断ち切るかと思われた《遍歴の騎士、エルズペス/Elspeth, Knight-Errant》《苦花》も《謎めいた命令》に阻まれ、PWC Finalsチャンピオンが決定したのだ。


山川 2-0 伊藤


2本目はたしかに伊藤の不幸もあったゲームだったかもしれないが、1本目は、間違いなく山川のデッキ構築の勝利である。少なくとも、すでに山川のデックを知っていたハズの筆者でさえも、山川の《残酷な根本原理》を失念しており、《くぐつ師の徒党》による伊藤の巻き返しがはじまるとばかり思っていたのだ。


山川 「どうしても、クリーチャー同士の細かいアドバンテージをとりあってると、《残酷な根本原理》があるとは思えないだろうし、思ってもケアできないですよね」


プロツアーハリウッドで、始めてクイックン・トーストが登場した時に、Wafo-tapaが初日全勝した時も、同じように勝利したのだろう。いつの時代も、知られていないというアドバンテージは高い。


ハリウッド当時、異形のデックと見られていたクイックン・トーストも、今や誰からも畏敬を集めるアーキタイプとなったのだ。だが、その時に、すでにデックは半分終わっている。


おめでとう、山川 洋明!

deck

そして、ヤマコンが、また新たなアーキタイプの雛形とならんことを。


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  • 2014.03.03 Monday
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